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「きおくのカケラ」分館 銭亀(ギルガメ)用

結局FF14は休止のまま。ヴェーネスに会いたいけど…

2024'11.26.Tue
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2008'05.24.Sat
なーんか、設定のまとめ文章なのかSSもどきなのか、よく判らない文章ができてしまった;

 



 アルケイディスの街並みは、天へとそそり立つ刃の群れを思わせる。
 石と鉄で組み上げられた骨組みは、飛空艇を浮かべている物と同じグロセア機関によって宙へ繋ぎ止められている。
 グロセア機関。モーグリたちによって開発されたと言われる飛行動力は、今や世界に無くてはならない機関になっている。
 グロセア機関に組み込まれている魔石は2種類--飛行石と動力用魔石--。
 飛空艇などの推進力を必要とする物には、動力用魔石が必須だが、建物のように移動する必要の無い物には、飛行石のみが組み込まれている。
 動力用魔石はサイズや純度、使用頻度にもよるが、ほぼ1年で寿命を迎える。
 一方の飛行石は10年近い寿命を持つが、消耗した石は必ず交換する必要がある。動力用のようにランクの低い石で代用したり、だましだまし使う手は通用しない。
 重厚で高度のある建物に組み込む石は、それに相応しい純度と出力が求められ、自然と価格も高騰するようになった。
 グロセア機関を組み込んだ高層建築が建造されはじめた頃、コストを抑えたい業者と豪華さを求める施工主のせめぎあいの中、さまざまな問題や事故が多発し、寿命を迎えた石の交換手順が設計段階で見落とされるなどの初歩的なミスも重なり、一時はグロセア機関の組み込みそのものが禁止される事態を招いた。
 だが、頑強な防護壁に囲まれた内側に住むことを誇りとするアルケイディスの民は、狭い土地の中に種々雑多な生活の場を求めており、建物の高層化は避けられない流れであった。
 打開案を求めた建築業者たちは、飛空艇製造企業の門戸を叩いた。 

 最初の飛空艇の誕生から百年近くが経っており、イヴァリース全土において飛空艇の建造技術は円熟の期を迎えていたが、建国以来、学問に重きを置き、技術国家として発展してきたアルケイディアには、天才と呼ぶにふさわしい数多くの学者、技術者が輩出されていた。
 その中でも、アルケイディアに拠点を置く飛空艇建造メーカーYPAは、優秀な機工士を多数抱え、斬新で高性能なグロセア機関の多種モデルを発表、製造していることから、提携開発の先頭に立つことになった。
 異業種間のやりとりには、用語や“常識”の違いから来るトラブルも多かったが、グロセア機関の取り扱いに関して百年の積み重ねを持つ飛空艇技師たちの助力は大きく、わずか数年で高層建築専用のグロセア・リングが完成し、多用途へ向けてのバリエーションが生み出されていった。
 折り良く、改築計画が持ち上がっていた皇帝宮にも最新型グロセア・リングが採用され、超高層建築はアルケイディアを象徴する物になったのだった。 

「…と言ういきさつから、このグロセア・リングの整備は、今もYPAが出張ってきている、と言うワケだ」
 アルケイディスの中央にそびえ立つ皇帝宮の中層にある塔のバルコニーに立ち、宮殿を支える巨大な2重のグロセア・リングを見上げていたシドが、満面の笑みで振り返る。
 ゆるゆると回転するリングに取りつき、年に2度の定期メンテナンスを行っている作業艇の船腹にはYPAの紋章が輝いていた。
「シドも関わっていたのか?」
「おお、まだ入社したばかりじゃったから口を挟むたびに睨まれとったが、かまわず首も手も突っ込んでやったわ」
 わはは、と豪快な笑い声をあげたエトーリアは、まるで我が子を見る親のような目でYPAの飛空艇とリングを見やる。
「交換ユニットを64分割にする件でも大いに揉めたが、皇帝宮が崩れでもしたら首どころじゃ済まんと脅しに脅して倍にしてやった。正直、もっと細分化したかったが資金が無くてな」
「銘版を見たことがあるが、シドの名は無かったようだが」
「ありゃ上層のヤツラしか入っとらん。なんだかんだと大人数が関わっとったからな、実際に作業した下っ端連中は竣工式すら出られんかった。まぁ、なんとなくそうなりそうだと思っとったのでな、ちょっとイタズラをしてやったわい」
「イタズラ?」
「ほれ、上リングの最上部に基礎ブロックがあるが、あの親骨の内側に作業員全員で名前を書いてやったんだ。アレは最上級の保護魔術が施されておるからな、銘版が朽ちた後でも残るぞ」
 笑いに肩を震わせていたシドだったが、話して聞かせた相手の表情に気づいて、姿勢を正した。
「すまん、己の屋敷に落書きをされたと聞かされて良い気はせんな……申し訳ない」
 黒髪の青年はゆっくりと首を振る。
「いや、そうじゃない。その名前を見ることができないものかと考えていた」
「…ふむ、難しいな。リングそのものを交換でもせん限り、目に触れる物ではないからな」
「残念だ」
「そういう物があると、あんたに知ってもらえただけで十分だ。もっとも、こう言う隠しダネなら、まだまだあるんじゃがな」
「他にもあるのか?」
 眉をひそめた青年へ向かって、初老の男は慌てて手を振ってみせる。
「皇帝宮にはもう無いぞ……たしか」
 真剣な面持ちで首をひねるエトーリアを眺めていた青年の面が、なんとも言えない苦笑に崩れる。
「あなたと言う人は、まったく。バハムートには何を仕込んでいるのだ?」
「今のところは設計図どおりだ」
 答えたエトーリアは、余計な一言をつけ加えてしまったと気づいて口元を押さえる。青年はめずらしく声をたてて笑い出した。
「シド、何か悪巧みをするなら忘れず私も加えてくれ。仲間はずれは無しだ」
「もちろんだ。あんたの援助があってのわしであることを、忘れるほど傲慢ではないぞ」
「信じている」
「信じておれ」
 互いの目を見つめた二人は、同じ笑みを浮かべた。



当然のように、魔石の寿命や、シドがYPAに勤めていた等は勝手な設定です。
グロセア機関を組み込んだ建物って、限りなく飛空艇だよねぇ。
普通の魔石は電池と同じで、放電してしまったらチャージはできないので破棄するしかないけど、神授の破魔石や人造破魔石は再チャージ可能。
マンガン電池とエネループを思い浮かべてしまうなー。
シドが生き延びていたら、きっと爆発的なエネルギー放出などのマズイ機能を調整した、安全な人造破魔石を作り出して、使い捨てではないエコロジーな(?)魔石文明を開いたんじゃないだろうか。
だって、魔石採掘しまくってたら、ビュエルバ落ちないっすか?

 

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