2008'07.07.Mon
ずいぶん以前に載せたラストバトル話の後ろにくっつけていたブツ。
ラストバトル話を書いたところ、なんとなくキレイに終わってくれたので、コレは蛇足っぽく感じて削除したんですが、消すのももったいないので寝かせまくってました。
ラストバトル話を書いたところ、なんとなくキレイに終わってくれたので、コレは蛇足っぽく感じて削除したんですが、消すのももったいないので寝かせまくってました。
ラバナスタの外れに居留している遊牧民族の小さな野営地。
急ごしらえの小さなテントの奥に敷かれた粗末な寝床の上に、フランは傷ついた体を横たえていた。
ヴィエラ族の敏感な耳が、外で走り回る子供たちや家畜の足音を聞くとはなしに拾い集めていたが、その中に聞き慣れた足音が混じる。まっすぐテントへむかって来た足音が立ち止まり、入り口の布が払いのけられる。
短い金髪に緑眼、ひょろりと細長い体躯に2重のガンベルトを巻きつけた青年――バルフレア――が顔をのぞかせる。手にした金属製の大きな水差しとカップを軽くかかげると、フランの枕元に膝をついた。
「具合はどうだ?」
「もう大丈夫」
「そうか」
フランの背に腕をまわし、しなやかな体を起こしてやった青年は、水差しの中身を注ぎ分けたカップを差し出す。受け取った彼女は鼻をひくつかせ、上目遣いでバルフレアを睨んだ。
「けが人にアルコール?」
「水みたいなもんだ。平気だろ?」
片方の眉と口の端を笑みの形に引き上げた青年はどっかりと彼女の隣に座り込むと、もう一つのカップの中身を一息で飲み干した。
「…ま、こんな場所で手に入る品だからな、贅沢は言ってられね」
フランもカップに口をつけ、こちらは喉を潤すために少しづつ含んでは喉の奥へ滑り込ませる。
沈黙が降りるが、気心の知れた二人の間にはよくあることで、気まずさも気兼ねもない。ただ、フランの白く長い耳が思い悩むようにかすかに揺れている。
「言いたいことがあるなら言っちまえ」
3杯目に口をつけたバルフレアが視線を中空に泳がせたまま促す。ややあって、フランのやわらかな唇が言葉を紡いだ。
「……バハムートでの戦い、わたしはミストに狂わされなかった」
ヴェインだった者との黄金色に燃えるミストが渦巻く中での戦い。ヴィエラ族はミストに敏感な故に、あまりにも濃く荒れたミストに触れると意識を流されてしまうのだ。
「大灯台でも同じだったわ」
再びの沈黙。
4杯目を一気にあおったバルフレアは金属のカップを握りしめる。硬い表面に爪を立てようとするかのように硬く、関節の色が変わるほど強く。
「あの野郎……ッ」
握りしめたカップを頭上高く振りかぶり……でも、結局、投げることなく床に押しつける。食いしばった歯の間からかすれた声が抑えきれずこぼれ落ちた。
「…………くそ親父」
フランが青年の肩に自分の肩を寄せる。バルフレアは彼女から顔を背けたまま、少しだけそちらへもたれかかる。
薄暗いテントの中で、二人は静かに杯を重ねた。
フランにとって、バルフレアは「手のかかる子供」なんだろーなーとか思っております。
歳の差が50近いし、ウチ設定だと出会ったばかりのバルフレア(つか、まだファムランだった)は頭はいいけど、治安の悪い街や屋外で生き延びるためのサバイバル知識はゼロに近かったんじゃないかと。
猟の仕方とか、野営の方法などは知っていても、地主に断りも無くやっちゃダメとか、タチの悪い人間を回避する方法とかは知らないって感じ。
そういうのを教えてくれたのがフラン。彼女の位置は「師匠+相棒」なのかなー?と。
恋愛感情は、バルフリャー側が抱いたとしても、フラン側には無さそう。
あ~、バル×フラン派に喧嘩を売る気はありませんので。 単にウチでの設定っす。
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